RESTORATION

1968 Ford Bronco “Urban Trail Package”

AFTER

BEFORE

■この車について

テキサス州、エルパソからやってきました、1968 Broncoです。こちらの個体は前オーナーにより、351WindsorエンジンとSR4 4speedトランスミッションが搭載されており、その他にもEdelbrock Performance RPM Intake,MSD Distributer,&AL Box Coil Wires,Demon Carburatorなどが組み込まれています。この個体をベースに当ガレージオリジナルの“Urban Trail Package”を製作しました。ボディカラーは霞みがちな東京の空気にマッチするシルバーをチョイス。東京のコンクリートジャングルをトレイルするという“Urban Trail Package”のコンセプトに沿った、イメージ通りの仕上がりを実現することができました。

  • ベース車両は、1968 Ford Broncoです。
  • こちらはインテリアです。前オーナーはハードトップを排し、6ポイントロールケージをインストール(溶接のクオリティーから見て自作したようです)し、基本はオープントップでこの個体を走らせていたようで、それなりに痛みが目立ちます。当ガレージ所有の1972 Baja Bronco 4SPとシフターの位置が同じであることが確認できます。
  • この個体の最大の売りは351ウィンザーエンジンとマスタング用4速マニュアルトランスミッション(Borg Warner社製SR4)を備えていることです。この組み合わせを持つオリジナル車両は存在せず(351WもSR4もビル・ストロップによって数台のバハ・ブロンコにインストールされたのみです)、モディファイされた個体でもこの組み合わせを持つ個体はなかなか見つけられません。
  • ゴールドのペイントがすべて剥され、サフェーサーが全体に塗装されました。この後、スムージングが行われ下地処理が行われていきます。
  • ウィンドシールドフレームやヒンジ部分、コウルパネル部分もスムージングされ塗装準備完了です。この部分は錆びている個体が多いのですが、この個体は錆もなくとても良い状態です。
  • ドアパネルも丁寧にスムージングが行われました。
  • この個体は前オーナーがオープントップで使用しており、ソフトトップは付属していましたが、ハードトップは失われていました。アフターパーツが豊富なアーリーブロンコですが、ハードトップに関しては新品パーツが存在しません。そこで程度の良い中古を入手して取り付けることにしました。
  • ボディのスムージングが完了し、塗装を行える状態にまで仕上がりました。
  • 351Wエンジンを納めるためにカットされたフードとエアスクープは付いていた物を再利用することにしました。ファイバーグラス製の形状が異なるフードなども検討しましたが、スタイリッシュとは言えず、現状の物がベストという結論に至りました。351Wエンジンはシリンダーブロックやインテークの形状が異なるため、エアクリーナー部分がノーマルのフードには納まりません。数あるアフターパーツの中でもこのタイプのエアスクープが一番スタイリッシュですね。
  • 腐食が見つかったフロアパンの貼り替え作業を行いました。こちらは作業前のフォトです。角の部分がボロボロになっているのが確認できます。
  • こちらはパッセンジャーサイドです。 綺麗に貼り替えることが出来ました。 フロアは最終的にLine-xコーティングを施す予定で、それによりオープントップでの使用にも耐える防腐性を目指します。
  • ハードトップも丁寧にスムージングされ、シルバーにペイントされます。
  • ハードトップも塗装に向けてスムージング作業が進められています。
  • ボディカラーは、東京の霞がちな空気にマッチするであろう、シルバーをチョイス。早速、ボディがペイントされました。
    数多くのカラーバリエーションを誇るアーリーブロンコですが、シルバーは1977年式のみに設定されたSilver Polyしか存在せず、レアカラーです。
  • アーリーブロンコは鮮やかな原色系のカラーリングを纏った個体が多く、シルバーやブラックなど落ち着いたカラーをオリジナルペイントに持つ個体は非常に稀なのです。
  • フードと左右のドアパネルもシルバーにペイントされました。
  • こちらはStandard 4 Pointケージです。ビキニトップの装着に対応するため、6Pointを排し、スタンダードの4Pointをオーダーしました。
  • シルバーに塗装された『Urban Trail Package』です。フロントグリルはフラットブラックに塗られ、Ford Grille Lettersが取付けられました。
  • フードスクープもシルバーに塗装され取付けられました。
  • フロアからインナーパネル、リアゲートはLine-Xコーティングが施されました。これでビキニトップでの使用でも対防腐性が高まり安心です。
  • 貼り替えを行ったフロア部分も綺麗にコーティングされました。
  • こちらは前後のフェンダーに取り付けられる'68-'69モデル用のリフレクターです。通常ですとクロームベゼルがセットされていますが、ベゼルをフラットブラックに塗装しブラックアウトしました。一緒に映っているパーツは左右ドア用のクイックリリースヒンジで、ドアの建付け調整を容易にする優れもので、アーリーブロンコには欠かせないパーツの一つです。こちらのパーツもクロームではなく塗装用をチョイス!ボディと同色のシルバーに塗装しました。
  • フェンダーモールディングもクロームメッキを剥がしフラットブラックに塗装しています。
  • こちらはフロントグリルに取り付けられる、グリルトリムです こちらも同じくブラックアウトされています。
  • 前後のインパクトバンパーもフラットブラックに塗装されました。
  • 『Urban Trail Package』のテールゲート、FORDレターにブラックのFORDステッカーが貼られました。ブラックアウトするすべてのクロームパーツ類と雰囲気を合わせる為です。
  • フードスクープの疑似エアダクト部分もフラットブラックに塗装されました。
  • ブラックアウトされたフェンダーモールディングも取り付けられていきます。シルバーペイントとフラットブラックの相性は抜群ですね。
  • テールライトレンズベゼルもブラックアウトされ取付けられました。
  • テールゲートハンドルも同じくブラックアウトされ取付けられました。
  • こちらは前後のインパクトバンパーです。このパーツは好みが分かれるところですが、ワイルドさを演出するため敢えてストックバンパーを諦めることにしました。
  • 左右のサイドミラー、ドアハンドル、ラジオアンテナベゼルがフラットブラックに焼付塗装され取り付けられました。
  • 破損が見られたドアロックノブも新品に交換されました。
  • ブラックアウトされたフロントグリルとインパクトバンパーの影響で全体的に引き締まって見えます。
  • 前後のフューエルキャップがフラットブラックに塗装され取り付けられました。
  • そして『Urban Trail Package』の目玉パーツの一つである、Warn社製9.5ti Thermometric Winchが取り付けられました。よりスタイリッシュになった新製品で耐水性が向上しており、操作中のウィンチモーターの温度を瞬時に把握することができる優れものです。とても高価なパーツですが目玉パーツであるため、外すわけにはいきません。
  • ヘッドライナーもシートスキンに合わせ、ブラックを選択し張り替えました。
  • 内装のリファイン作業が完了した『Urban Trail Package』です。前オーナーによって取り付けられたフロントバケットシートは表皮の張替を行いピカピカです。
  • リアシートにはCORBEAUシートを選択し、取り付けました。
  • 3.5インチリフトアップされた脚まわりはショックアブソーバーも長めのものに交換してあるので、良く伸びます。
  • タイヤ&ホイールはFord OEMスチールホイール(15×8J)にBFGoodrich Mud Terrain T/A(33×12.5R15)の組合せを選択し装着しました。
  • 下まわりのクリーニングを行っている1968 Bronco。リフトで上げて車の下にもぐり、ワイヤブラシでゴシゴシと汚れを落としました。
  • かなり時間はかかったもののキレイな状態に整えることができました。
  • ここまで仕上げれば、後に吹くシャーシーブラックの乗りもかなり良くなります。
  • ミッション&トランスファもマウントごと降ろして、清掃&調整を行いました。
  • 気になるところのあったエンジンも一度降ろして分解&整備を行いました。このブロンコには351W V8エンジンが搭載されています。
  • まずはシリンダーヘッドをブロックから外し、バルブまわりの分解&クリーニングから。
  • 各気筒の吸気&排気バルブをシリンダーヘッドから抜いてカーボンなどの汚れを落とします。
  • 汚れを落とし終わったら、シリンダーとのすり合わせを行います。バルブの傘にコンパウンドをつけ、バルブを回すことで面を整え、シリンダーヘッドとの密着度を高めます。
  • コンパウンドは目の粗さによって2タイプを用意。このコンパウンドは'60年代からこの業界で使われているという定番品です。
  • 8気筒×2本=計16本のバルブ擦り合わせがおわりました。
  • キレイな、そして滑らかな接触面を作り出すことができました。
  • シリンダーヘッドを外したシリンダーブロックをエンジンスタンドで回し、オイルストレーナーやオイルポンプを取り外します。
  • 先に外してあるプッシュロッドやたぺっとのクリーニングを同時に進めました。
  • ピストンリングコンプレッサーでピストンリングを縮めながら
  • ピストンをシリンダーへと戻していきます。
  • ピストンを全て戻したのち、シリンダーヘッドを取り付け。エンジンらしい姿になってきました。
  • ロッカーアームナットの締め付けを行い…
  • インテークマニホールドとバルブカバーを取り付けました。351W V8エンジンも元の姿に近い状態になりました。
  • Urban Trail Packageの下まわりをクリーニング中です。
  • ワイヤブラシやスクレイパーを使いながら、長年の汚れを隅々まで落としていきます。
  • フロアをしたから見た状態。かなりの範囲で素地の状態にまで戻すことができました。
  • こちらはリアからフロア下を見ている状態。
  • 前後のインナーフェンダーやサスペンションまわりも地道に汚れを落とします。
  • 時間はかかりましたが、スベスベの地を作り出すことができました。このレベルまで手を入れておけば、後に吹くシャシーブラックののりも変わってきます。
  • 主役のエンジンがいないエンジンルームでは、メカニックがすっぽりと収まって隅々までクリーニング中。
  • 汚れをしっかりと落としたのちシャシーブラックで整えました。
  • フレーム&エンジンマウントまわりもご覧のとおり。綺麗に仕上げることができました。
  • 高圧洗浄に備え前後のバンパーを取り外します。フレームの中まで洗い流すためです。
  • 車の下に潜り込みながら、隅々まで高圧の水を吹きかけ、今までの作業で被った埃やオイル汚れなどをウォッシュアウト!
  • 洗浄中はかなりの範囲に水が舞うので、ウォーターガンを持っているメカニックはびしょ濡れです…。
  • 洗浄終了後水分の乾燥を待って脱脂したのちにシャシーブラックを塗布しました。
  • 下地作りをしっかりと行ったかいあって、下まわりを新車に近いコンディションまで仕上げられたと思います。
  • こちらはリアのインナーフェンダーまわり。
  • 燃料タンクは一度すべての汚れやペイントを落とし状態を確認。
  • リペイントを施しました。
  • タンクガードも同様にリペイントしています。
  • インテリアのコンディションを整え中の1968 Broncoです。
  • まずは配線類のチェックから。ラインオフから40年以上経過している車ゆえ、この作業は欠かせません。
  • 時には今までのオーナーによるワンオフ配線などもあったりして、難解な壁にぶつかることも…。配線作業中はドライバーズシートの足元はこんな感じになります。
  • フロントアクスルまわりを整備中の1968 Broncoです。
  • ブレーキやハブまわりをバラしながら細部まで清掃を行いました。
  • アクスルシャフトを抜くこともあり、デフは一度降ろしてインナーシールも交換します。インナーシールはなかなか交換できないパーツだけに、一気にリフレッシュしてしまう計画です。
  • こちらが内部をクリーンナップしたのち、組み直したエンジンエンジンです。フォードブルーでペイントしました。このエンジンを1968 Broncoのエンジンルームへと戻します。
  • 補機類も組み付けてだいぶ見慣れたエンジンらしい姿になりました。この状態でフレームのエンジンマウントへと連結します。
  • エンジンをクレーンでつり上げ、ブロンコのエンジンルーム目指して降ろします。
  • 351Wエンジンはブロンコオリジナルの302エンジンよりもボリュームがあるので、エンジンルームに収めるにはちょっぴり気を使います。エンジンルームはパツンパツンの状態に…。
  • 無事エンジンマウントへと連結されました。ヘダースも装着し、この後水まわりやキャブレター&エアクリーナーなどを取り付けていきます。
  • まだブレーキマスターシリンダーが付いていませんが、エンジンルーム内の完成形が見えてきました。ここからは細部の仕上げを行います。
  • エンジンを載せる前に、サスペンションまわりもリペイントを施しました。デフやハブも一度分解&清掃を行い組みなおしています。
  • 作業のために外していた前後バンパーも取り付け、エクステリアもほぼ元どおり。
  • ワイルドなルックスの1968 Broncoです。
  • エンジンを降ろす際に一連の作業として降ろされたミッション&トランスファ。ガスケットやシール類を交換していきます。
  • こちらが今回交換したガスケット&シール。新品はシャキッとしていて気持ちいです。当ガレージではこの辺りのガスケットはすべてのブロンコで新品に交換しています。
  • C-ブッシュを交換中の1968 Bronco。当店のブロンコでは必ず交換するパーツのひとつです。
  • 今回新しく組み込んだC-ブッシュです。合わせてラジアスアームブッシュやトラックバーブッシュもリニューアルを行いました。
  • 車から外したラジアスアーム類はクリーンナップを行った後シャシーブックでペイントしています。
  • こちらはラジアスアームを磨くの図。グラインダーで地道に錆や汚れを落とし、金属の地をしっかりと出しています。
  • フロントアクスルのラジアスアーム支えられる部分(C-ブッシュ取り付け部)は地道にワイヤブラシで汚れを落とします。
  • タイヤハウスやアクスルハウジング、ドラッグリンクもクリーンナップ後にリペイントを施し、ごらんの状態に。
  • ブレーキラインやブレーキホースもリニューアル。
  • フロントアクスルにC-ブッシュを取り付け、ラジアスアームで挟み込んでいきます。
  • リフトで上げられた1968 Bronco。クラッチ&ミッションの取り付け準備が進められております。
  • ニュークラッチが装着されました。スターターダウエルプレートは磨いた後、フォードブルーにリペイント済みです。ブロンコのクラッチは通常レバー式なのですが、今回はダイヤフラム式へとグレードアップを図りました。
  • ミッション&トランスファも無事に載せることができました。このブロンコはヘダースが入っている上、4速ミッションに載せ変わっているので、かなりキツキツのレイアウトとなり、所定の場所に収めるのにひと苦労…。
  • 各メーターの動作確認&調整を行い、内部もクリーニングしています。
  • ナンバー取得に向け整備中の1968 Bronco。
  • エンジンルーム内各部を点検を行いました。
  • 作業のために外していたルーフラックをブロンコへと戻します。
  • クレーンで吊って…
  • ブロンコのルーフ上へと戻しました。
  • 1968 Bronco Urban Trail Packageの完成です!
  • コンセプトは霞んだ都会を颯爽と駆け抜ける…です。とはいっても、しっかりと四駆としてのスペックは活かした作りになっていますよ。
  • 約3.5インチのリフトアップに33インチのMTタイヤを装着。ホワイトレターがいい感じです。リアフェンダーはカットした後オーバーフェンダーを装着し、Baja Broncoスタイルに。カラーリングはシルバーxマットブラックで塗り分けています。
  • 前後バンパーはハードなクロスカントリーにも耐えられるスペックを持つスチール製を装着。フロントにはWARNのウインチを備えていますので、自己レスキューはもちろん、他車でもグイグイと引っ張ることができますね。
  • リアはスペアタイヤキャリア一体型。純正と同じスイングタイプです。スペアタイヤにも33インチタイヤを装着しているのですが存在感抜群です。
  • 現代的なものよりも無骨なパイプ製のラックの方がよく似合います。
  • 1968 Bronco、奥に停まっている2台のフルサイズピックアップにも引けを取らない存在感です。
  • ナンバーを取得しテストドライブへ。そんな中ブレーキに違和感を感じたので、点検してみることに。
  • ドラムを開けて点検してみましたが、これといった問題は見つかりませんでしたので、一度ブレーキを分解して改めて組み直しました。
  • 組み直す際には再度ドラムブレーキシューの面取りも行いました。ブレーキシューは新品を組み込んでいますが、今回は最初よりもちょっとキツメに面取りを行っています。
  • 合わせて下まわりもザッと点検を行いました。オイル漏れもなく、組み上げた時のクリーンな状態を保っています。
  • ブレーキを組み上げた後にテストドライブを行い、問題解消を確認! これでまた気持良くドライブすることができます。