RESTORATION

1968 Ford Bronco

AFTER

BEFORE

■この車について

Fresno,CAからやってきました、1968 Broncoです。この個体はその40年以上にも及ぶ生涯をカリフォルニア州フレズノ近郊で過ごし、ストレート&ラストフリーのボディは、カリフォルニアの乾燥した気候の恩恵と言えるものです。そんなオリジナルコンディションの個体をベースに、リペイントとインテリアのリファインをカリフォルニアにて、ドライブトレインやサスペンション、その他のリファインを日本到着後、当ガレージにて行いました。手間隙のかかるレストアプロジェクトとなりましたが、その甲斐あって美しい仕上がりを実現できました。

  • この個体はちょうど1年ほど前にFresno,CAにて3人目のオーナーである女性から購入しました。彼女にとってブロンコは憧れのクルマだったそうで、18歳になった2001年に2ndオーナーから購入して以来、彼女のお兄さんに整備を依頼し大切に扱ってきたそうです。
  • この個体の1stオーナーはOakhurst,CAに住む初老の紳士で、彼が勤務する金物店への通勤の足として、毎日、往復3マイルほどドライブを楽しんでいたとのこと。2ndオーナーはFresno,CAの警察官で彼はこのブロンコを休日のドライブのみに使用し、普段は大切にガレージに保管していたそうです。その生涯を通じてFresno近郊に存在し、引き継がれてきた為、貴重なカリフォルニアブラックプレートも保たれていました。
  • 経年劣化によりボディペイントは艶を失い、ところどころ小キズはありましたが、その生涯を通じてガレージ保管されてきたため、錆はなくストレートなボディが保たれていました。このようにヒストリーがはっきりとしていてオリジナルの状態を保ったブロンコは貴重で、とても価値の高い個体なのです。
  • 日本への輸入に際し、ボディペイントと内装のリファインを中心としたレストアを行なうことを決断しました。
  • インテリアはそれなりに傷んでいましたが、オリジナルのホーンリングなど貴重なパーツは状態良く残されており、レストアベースとしては上々です。
  • リアシートはご覧の通り大きな破れがあり、シートスキンは勿論、シートフォームの交換も必要です。
  • ドアパネルはスタンダードの物から、ワンランク上のビニール製の物に交換します。
  • 前オーナーによってリビルトされた289cid.エンジンです。今回は補機類のリニューアルを行い、エアコンをインストールします。
  • 下まわりはご覧の通りとても綺麗な状態でした。前オーナーのお兄さんがこつこつと仕上げたそうです。
  • 古いボディペイントが剥がされ、ボディ表面を整えた後サフェーサーを噴き、スムージングが行われた状態です。フード、ハードトップ、テールゲート等々、取り外されたボディコンポーネンツはそれぞれがスムージングされペイントされます。
  • 小傷が目立っていたダッシュパネルもペイントが剥がされ、塗装をする準備が整いました。
  • ハードトップも外され、スムージングが行われています。
  • ペイントの準備が整い、ブースに入った状態です。
  • カリフォルニアでのボディペイントを終えた直後の1968 Bronco Skyview Blue号です。
  • 南カリフォルニアの強い日差しを浴びてSkyview BlueのNewペイントが映えます。この年代のクルマは当時のボディカラーを再現することが難しく、カラーコード通りにペイントしても全く違う色になってしまったなんてことが度々起こります。入念に色の度合を確認しながらの作業となりました。
  • グリルのフォードレターはこれからボディと同色のSkyview Blueにペイントされます。
  • スペアタイヤキャリアが装着されたリア部です。テールゲートのフォードレターはハードトップと同色のウィンブルドンホワイトへとペイントされます。
  • ダッシュパネルもきれいにリペイントされました。
  • ハードトップのペイントが完了し、ボディに載せられるのを待っている状態。
  • ハードトップがボディに載せられました。ハードトップはダッシュパネルや前後バンパーと同色のフォード純正ウィンブルドンホワイトで、いわゆるアイボリーホワイトなのですが、この色、調合の具合がなかなか難しいのです。
  • ご覧の通り、ハードトップは内側の天板まできれいにペイントしています。この後、ヘッドライナーを貼る都合上、手を抜きがちな部分ですが、見えないところまでこだわりを持ち、きちんとペイントするようにしています。
  • 左右のドアとドアパネルもきれいにペイントされました。
  • 左右のフロントフェンダーにNew289エンブレムと、
  • Newブロンコスクリプトエンブレムが取付けられました。
  • すべてのペイントワークが終了しました。
  • フロントグリルのFORDレターはオリジナルの仕様と同様にボディと同色のSkyview Blueにペイントされました。
  • テールゲート上のFORDレターもハードトップと同色のウィンブルドンホワイトへとペイントされました。
  • 左右ドアパネルがプラスチックプレートからパーチメント色のビニールドアパネルに交換されました。メッキ調トリムと相成ってぐっと高級感が増しました。
  • 古いシートスキン、シートフォームをごっそりとフロントシートのフレームから剥がしました。
  • そして、シートぐれーむにNewシートフォームとNewシートスキンが張られました。
  • こちらは古いシートフォームとシートスキンが剥されたリアシートのフレームです。単にシートスキンの張替だけを行なうのではなく、徹底的なリファイン作業を行なっております。新しいオーナー様が直接触れることになるインテリアですので、こだわりを持ちたいポイントなのです。
  • こちらが完成したリアシートです。
  • ブラックのカーペットが張られたフロアに完成したシートを取り付けていきます。
  • ビニール製のサイドクウォーターパネルが取り付けられています。
  • クウォーターパネルを取り付けることで高級感が高まります。このSkyview Blue号はベースグレードなので本来、付属しないパーツですが、人気の高いパーツでもあり、すべてのインテリアパーツをリニューアルすることに合わせ装着することにしました。
  • そしてフロントバケットシートが取り付けられ、
  • リアベンチシートが取り付けられました。前後のシートベルトもNewラップベルトに交換されています。
  • フロアにはNewブラックカーペットが綺麗に貼られ、テールゲートベッドもフロアと同様にブラックカーペットが貼られました。テールゲートベッドシールやテールゲートバンパーもNewパーツに交換されています。
  • ワイパーモーター&リンケージもNewパーツに交換され、
  • Newワイパーリンケージカバーが取り付けられました
  • ワイパースイッチやライターエレメント、ベゼル類もNewパーツを用意。
  • 全てのスイッチ類がダッシュパネルに取り付けられました。
  • 最後の仕上げはタイヤ&ホイールの交換です。今回は少し太めのミシュランLTX AT2をチョイス。組み合わせるホイールはフォード純正OEMスチールNewホイールです。
  • このタイヤの魅力は丸みを帯びたサイドウォールでクラシカルな雰囲気はブロンコによく似合います。
  • そしてSkyview Blue号に装着されました。
  • 遂にカリフォルニアでの作業を終えたSkyview Blue号です。
  • CAでは主にエアコンのインストール、ボディワークとインテリアのリファイン作業が行われました。エンジンルームのリフレッシュ作業やブレーキラインのオーバーホール、サスペンション回りのリファイン作業はご紹介している通り、日本到着後の作業となりました。
  • この2台は同じ1968年式ながら、ボディカラーやモール&エンブレムといった若干の違いで雰囲気が大分変わります。スカイビューブルーはブロンコの持つ可愛らしさが際立ち、ピュアホワイトではボディサイドのモールなどの効果もありシャキッとした印象を与えています。搭載しているエンジンは、289V8(スカイビューブルー)、302V8(ピュアホワイト)です。
  • 燃料タンクを降ろして磨いてペイント、燃料ラインも全て引き直しました。この後、駆動系やブッシュ類の交換などを行って完成となります。
  • 下まわりの作業です。まずは駆動系から仕上げに入ります。デフオイルをケース内にとどめておくためのシール類を全て交換します。
  • このシールは小さなパーツなのですが、大きな役割りをになっています。
  • ハブやブレーキ周りもシール類、ホイールシリンダーなどを新品に交換して組み上げます。
  • フロントアクスル内に備わるインナーシール。デフオイルの漏れをアウターシールと共に防いでいるパーツです。スプリングが巻きつけられたゴム部分がアクスルシャフトにしっかりと密着することでデフオイルを押さえ込んでいます。
  • これはデフの中身をそっくりと取り出して古いオイルシールを取り除いた状態です。綺麗に清掃した後先程のオイルシールをアクスルハウジングにはめ込みます。
  • 左右ともにシールを取り付けデフを元通りに組み付け、微調整を行えば完了です。
  • 動きが渋くなっていたアクスルのUジョイントの交換です。このジョイントがうまく機能しなくなると異音が発生するだけでなく、ステアリングの動きに違和感を感じてしまうこともあります。こちらが新品のUジョイントです。
  • このパーツにはニードルベアリングと呼ばれる棒状のベアリングが使われているのですが、動きが渋かったものをばらしてみると…
  • ベアリングには錆と汚れ。この状態ではうまく機能しません。
  • アクスルのジョイント部をばらして新品のUジョイントを組み込みます。
  • 一度バラしたアクスルシャフトは新しいUジョイントに交換し、ハウジングに戻しています。
  • トラックバーのブッシュを新品に交換。
  • タイロッドのダストブーツも新品へと交換しています。
  • ブレーキ周りも分解&清掃を行い、ホイールシリンダーやブレーキホース類、ブレーキドラムも交換しました。
  • ウインドウレールの交換作業中です。
  • これがウィンドウレール。マニュアルのレギュレーターハンドルをクルクルと回すと、このレールをガイドにしてサイドウインドウが下がっていきます。このレールに不具合があるとウインドウが真っ直ぐ下りなかったり、外れてしまうこともあります。
  • ドアの中に隠れているので普段はお目にかかることのないパーツですが、ウインドウをスムーズに開閉するという大切な役割を担っています。ニューパーツに交換して、ウインドウの開閉もばっちりです。
  • ラジアスアームブッシュ&Cブッシュの交換作業です。
  • ラジアスアームはフロントアクスルの位置決めをしている重要なパーツでもあるので、これらブッシュ類が痛んでくると走行が不安定になるなどの不具合が出てしまいます。
  • こちらがラジアスアーム。すでにブッシュを装着しています(右端)。左側のCの形をした部分でアクスルを挟みこんで固定しています。そこに使うブッシュなのでその名もCブッシュ。ラジアスアームとアクスルの位置関係(角度)を決める大切なブッシュです。
  • しっかりと新しいブッシュを組み込み完成。この後下まわりをシャシーブラックで整えてます。
  • エンジンルーム内の作業を行っています。マスターシリンダーブレーキラインの交換。すでに古いブレーキラインは外してあります。
  • 純正はゴム製なのですが、ホースが固くなり始めていたので新品へと交換することにしました。スチール製のブレーキラインです。
  • ブレーキラインを取り付けました。マスターシリンダーから下にある分配器までのブレーキラインのリニューアル完成です。
  • ブーツを3つ交換しました。こちらが交換した3つのブーツです。左からクラッチロッドブーツ、アクセルロッドブーツ、ステアリングコラムブーツです。どれも室内とエンジンルームの境目に使われているパーツで、破れているクルマも多いです。
  • 交換した3つのブーツの中でも、ステアリングコラムブーツは交換するのにステアリングをマルッと外す必要があるのでかなりの重作業です。外したパーツは清掃&リペイントしたのち、改めて組み直します。
  • ステアリングコラムブーツの交換終了。
  • こちらはクラッチロッドブーツ。
  • こちらはアクセルロッドブーツも交換終了です。
  • ファイヤーウオールも清掃後リペイントして完成です。
  • 新鮮な空気をドライバーの足元へと送り込むエアベントボックスを交換しました。樹脂製なので経年劣化によってクラックが入ってしまいます。
  • こちらが今回新たに装着したエアベントボックスです。つまみを回して扉を開ければ、ボンネットのスロットから走行風を取り込むことができる仕組みです。雨水などが入らない工夫もされています。
  • エアベントボックスを取り付けた状態。エンジンルームからみるとこんな感じです。シールも新品へと交換済みです。
  • 前後のスプリングを交換しました。これはリアのリーフスプリングを交換中のワンカットです。
  • 上が今まで付いていた物、下が今回新しく組み込んだリーフスプリングです。
  • ウエザーストリップ類もリニューアルしました。ドアまわりはもちろん、テールゲートまわりも一周取り付けています。
  • 若干動きの渋かったドアハンドルもブランニューアイテムを装着しました。キーシリンダーも新品へと交換です。
  • これは装着前のドアハンドルです。手前に写っているパーツ、ドアのオープナーです。ニュードアハンドルを装着して、とてもスムースに開閉できるようになりました。
  • ウェザーストリップの交換作業。アメリカからやって来たブロンコのウェザーストリップはすべて新品へと交換しています。こちらはドアまわり。
  • テールゲートまわり。一度すべてのウェザーストリップを剥がし、シール剤を適所に使いながらニューウェザーストリップを取り付けていきます。
  • そして、ドアです。このインナートリムの裏側にサービスホールもしっかりと塞がないと室内に雨水が入ってきてしまいます。この後接着剤を乾燥させ、シャワーテストを施して完成です。