RESTORATION

1972 Ford Bronco Ranger

AFTER

BEFORE

■この車について

オレゴン州ベンドからやってきました、1972 Bronco Rangerです。こちらの個体はボディペイントからインテリアに至るまで、70's Warn WinchとHolley Carburatorがインストールされている以外は、すべてオリジナルコンディションという1台です。貴重なルーフラックも備えているなど、なかなか見つけることができない希少車です。そんな個体をベースに、40年前の新車時の輝きを取り戻すため、フレームオンフルレストアを敢行しました。その作業内容は多岐に渡り、時間とコストは嵩みましたが、美しい仕上がりを実現することができました。

  • この度、レストアプロジェクトのベース車両として、オレゴン州ベンドからやってきました1972 Bronco Rangerです。
  • この個体はフロントバンパーとウィンチ、Holley製キャブレター以外はすべてオリジナルの状態を保っており、錆もなくソリッドな個体です。
  • Ranger Package特有のカラーリングをまとった、LimeStone Greenのペイントもオリジナルペイントです。貴重なルーフレールも付属しています。
  • インテリアもすべてオリジナルの状態を保っています。最近、価格が高騰しているホーンリングも綺麗な状態です。
  • インテリアはオリジナルの素材を活かしつつ、全体的なリファイン作業を施す予定です。
  • フロントシートスキンは破れなど破損が目立ちますがリペアを施し元の状態を復元します。
  • リアベンチシートはとても綺麗な状態です。
  • オリジナルのドアパネルもこの通り、綺麗な状態です。
  • オリジナルの302エンジンはご覧の通り、歳相応といった外観です。エンジンに関してはリビルト品への載せ替えを予定しています。
  • ペイントの剥離作業に入った、Limestone Green号です。
  • オリジナルのレンジャーパッケージのカラーリングは貴重ですが、小キズが目立つことや高温多湿な日本での使用を考え、リペイント作業を行なうことを決断しました。
  • 丁寧に古いペイントを剥離していきます。
  • リアフェンダーまわり。
  • フロントドア。
  • 古いペイントが剥離され、下地処理のサフェーサーが噴かれました。
  • ハードトップも同様に下地処理が施されていきます。
  • ボディペイントを終えた、Limestone Green号です。
  • レンジャーパッケージカラーリングからLimestone Green単色のボディへと生まれ変わりました。オリジナルの状態を極力保ちつつ、シンプルですっきりとした印象を得ることに成功しました。
  • しっかりと乾燥させた後、付属パーツの組み付け作業を行なっていきます。
  • ダッシュパネルもボディと同色のLimestone Greenへとペイントされました。ダッシュパネルの配色は、ベースモデルとSportモデルではハードトップと同色のWimbledon Whiteで、最上級グレードであるRanger Packageのみボディと同色のカラーとなります。
  • ハードトップもオリジナルカラーである、Wimbledon Whiteできれいにペイントされました。
  • ハードトップを取り付けています。
  • ハードトップを取り付けて、洗車をして、すべてのペイント作業が終了しました。
  • テールゲートのFORDレターもWimbledon Whiteにしっかりとペイントされています。
  • 貴重なオリジナルのルーフレールももちろん、取り付けられました。このパーツはアーリーブロンコにおいて入手困難なパーツの一つで、付いている個体を探す以外、入手する術はほぼありません。
  • ボディのペイント作業を終えて、Upholstery Shopへと運ばれてきたLimestone Green号です。まずはインテリアパーツをバラしていきます。
  • オリジナルのカーペットも大分、汚れが目立ち、色褪せているのが確認出来ます。今回はパイピング生地のカーペットを貼る予定です。
  • インナードアパネルはオリジナル品を活かし再生します。
  • こちらはリアクォーターパネルです。
  • シートスキンやドアパネル、クウォーターパネルなどRanger Packageのインテリアパーツは、Newパーツを入手することが出来ません。これがベースモデルやSportモデルと異なる点で、Ranger Packageのインテリアのリファイン作業は手間とコストがどうしてもかかってしまいます。
  • シートスキンは中央部分の千鳥格子柄の生地はオリジナルのものを補修し、新品のビニール生地と縫い合わせて再生します。この様にオリジナルの生地を傷つけることなく、慎重に解いていきます。
  • シートスキンを再生し、新品のシートフォームと組み合わせることで、それぞれのシートを限りなくNewシートへと近付けていきます。
  • すべてのインテリアリファイン作業を終えたLimestone Green号です。レンジャーパッケージ特有のシートセンター部分、千鳥格子柄生地は入手不可能品のため、オリジナルの生地を補修することで再生しています。新品のビニール製生地と縫い合わせることで、まるでNewシートのようなクウォリティを実現しています。
  • リアベンチシートは千鳥格子部分に損傷がなかったため、更にきれいな仕上がりです。
  • 左右のリアクウォーターパネルも、Newスキンとオリジナルの千鳥格子柄生地を組み合わせ再生しました。美しい仕上がりです。
  • サンバイザー、ワイパーモターカバーもNewパーツを取り付け。
  • ヘッドライナーも新品へと張り替えられました。
  • 左右ドアパネルも貴重なオリジナル品を再生し取り付けました。
  • カーペットは耐久性に優れる、パイピング生地を採用し、張り替えられました。
  • アメリカで売りに出されているブロンコで、元はレンジャーパッケージであったものを、Newパーツが無い為にベーシックモデル用のシートスキンやドアパネルを使ってレストアされた個体をよく見かけることがあります。安易な作業を追及するとそのような事になりがちですが、当ガレージではあくまでもオリジナルの姿に忠実なレストアを心がけています。手間隙はかかりましたが、美しいインテリアを実現することが出来ました。
  • 現状の302エンジンはオリジナルの状態で、それなりに損耗しており今回はエンジンをリビルトすることになりました。
  • 今回は、バハブロンコスペシャリストのN氏のスケジュールが空いていたこともあり、N氏に機関関係のレストア作業を依頼しました。仕上がりがますます楽しみになりました。
  • まずはN氏の手によって補機類がバラされていきます。ファンベルトもこの通り、ひび割れが確認できます。
  • ラジエターには損傷があり、こちらもオーバーホール&リペアが必要です。
  • ファンシュラウドもご覧の通り、破損しているためNewパーツへと交換します。
  • パワーステアリングギアボックスからはオイルリークを発見、こちらもオーバーホールまたはリビルト品へと交換予定です。
  • こちらが取り外された補機類です。それなりに傷んでいますのですべてNewパーツへと交換となりそうです。
  • すべての補機類が外された状態です。
  • フレームからエンジンが降ろされました。N氏によるリビルト作業で、どんな味付けに仕上げられるのか、今から楽しみです。
  • バハ・ブロンコスペシャリスト、N氏によって組み上げられた302 Windsorエンジンがインストールされました。
  • N氏曰く、同じ302 Windsorでもブロンコ用とマスタング用では詳細が異なるとのことで、今回はオリジナルに忠実にブロンコ仕様のスペックで組み上げてもらいました。
  • ストックの2バレルキャブレターはオーバーホールされ、ゴムホース類、ワイヤー類が新調され補機類が組み込まれていきます。ファンシュラウドもNewパーツへと交換されました。
  • 最後にエアークリーナーボックスにシュノーケルと呼ばれるエアーインテークを取り付けてもらい、N氏による作業がすべて完了しました。市場で売られているブロンコは、このシュノーケルが失われている個体が非常に多いのですが、その理由をN氏に尋ねたところ、付いていない方が空気の吸入量が多いだろうというイメージで外す人が多いとのこと。同じ理由かどうかは不明ですが、N氏のガレージにも複数のシュノーケルが転がっており、今回はその中から状態の良い物を選んで取り付けてもらいました。
  • こうしてエンジンのリビルト作業を終えた、Limestone Green号はN氏の拠点であるSan Jose,CAからLAの倉庫へと帰還を果たしたのでした。
  • バハ・ブロンコスペシャリスト、N氏によるエンジンのリビルト作業を終えたLimestone Green号は休む間もなくマフラーの交換作業が行なわれました エキマニ以降のエキゾーストラインをすべて新調しました。
  • ペイントショップにて最後のディテーリングが行われた結果、エンジンルームのリペイントを行うことになりました。コアサポート表裏、左右フロントホイールウェル、インナーフェンダーエプロン、フード裏側をペイントしました。
  • こちらが、パッセンジャーサイドホイールウェルです。きれいな仕上がりです。
  • ドライバーズサイドも同様にきれいに塗られました。
  • フード裏側もペイント完了です。
  • そしてNew純正スチールホイールにCooper製ホワイトリボンタイヤが組まれ装着されました。
  • こうしてカリフォルニアでのすべてのレストアプログラムを終えたLimestone Green号です。
  • 同時期にレストア作業を行なっていたMidnight Blue号と共に船積みされます
  • これはLong Beach港へ向けて出発する時の様子です 手間とコストは嵩みましたが美しい仕上がりを実現することができました。
  • アメリカでのレストアプロジェクトを終え、無事ガレージに到着しました。ここからは日本での作業開始です。まずは油脂類の交換から行います。リアデフはオイル交換と同時にガスケットも交換します。しかし、ブロンコのリアデフはガスケット交換がひと筋縄ではいきません。というのも、アクスルシャフトを抜かないとガスケット交換ができないのです。
  • 左右のアクスルシャフトを抜くことで初めて降ろすことができる、リアディファレンシャル本体です。コレがかなりヘビー級のウェイトの持ち主で、ひとりで持っているとウデがプルプルしてきます。
  • こちらが交換したガスケットです。
  • 古いガスケットを剥がしながら、大きく口をあけているハウジング内もクリーンナップ。
  • ワイヤブラシなどを使い、合わせ面を綺麗に整えます。
  • 残っていたオイルも取り除き、ハウジング内も綺麗になりました。
  • 新しいガスケットを装着しデフをハウジングへと取り付けます。この後一晩ほど時間を置いて、デフオイルを注入すれば完成です。
  • 引き続きトランスファーオイルを交換します。トランスファーは2WD⇔4WDの切り替えを行うパートです。通常はリアドライブのブロンコですが、このギアの組み合わせを変えてフロントのドライブシャフトに駆動力を伝えることで四駆になります。さらに、よりギア比の高いローレンジへも切り替えられます。オイルのドレンボルトだけではなく、トランスファーのカバーを開けてオイルを全て出し、内部を綺麗に掃除します。
  • シャフトカバーのシムも一枚ずつバラしてそれぞれクリーンナップしてから組み付けます
  • こちらがトランスファーのカバー用ガスケット。
  • ガスケットを装着してカバーを戻しました。
  • カバーを戻した状態で一晩ほど置いて、ガスケットをしっかりと換装させてからトランスファーオイルを挿入して完成です。
  • ラジアスアームブッシュとラジアスアームとアクスルハウジングを繋ぐCブッシュを交換中です。
  • こちらがCブッシュです。上が今までついていたもの、そして下がこれから組み込む新品です。
  • すでに取り付けてありますが、ネジ部の根元に入っているのがラジアスアームブッシュです。
  • この作業はアクスルをフレームから切り離して行う必要があります。さらに、ブッシュの取り付けも重いアクスルハウジングの位置の微調整を行いながらですのでなかなかひと筋縄ではいきません。
  • クリーンに仕上げることができたフロントサスペンション。
  • ブッシュに加えダンパーも新品へと交換しています。
  • リアサスペンションとガソリンタンクガードまわりです。