RESTORATION

1974 Ford Bronco Sport

AFTER

BEFORE

■この車について

数々のカーショーでの受賞経験がある、知る人ぞ知る個体だった1974 Bronco Sport。66,269オリジナルマイルということでもともとボディコンディションが良かったため、アメリカではディテールアップのボディワークに作業を留めて日本へと輸入しました。日本到着後は当店のスタンダードメニューとなる消耗品や油脂類の交換、下まわりのクリーンナップなどの作業の他、302cid V8エンジンをオーバーホールしています。オーバーホール後には幾度となくテストドライブを繰り返し、すこぶる健康的なブロンコに仕上げることができました。

  • アメリカにある当店のストックヤードに到着したばかりの1974 Bronco Sportです。レストアを始める前の写真ですが、この状態でもかなりのGood Conditionを保っていました。
  • レストアプロジェクトがスタートしたばかりの1974 Bronco Sport。
  • まずはボディまわりのチェックから開始です。
  • エンジンルームのインナーパネルは入念にチェックされますします。特にファイアーウォールからドライバーズサイドキックパネルにかけてはブロンコのウィークポイントで、錆が潜んでいる場合が多いんです。
  • 下まわりも綺麗な状態が保たれていました。
  • 両サイドのフロントホイールウェル内部は見たところとても綺麗な状態ですが、キックパネルとインナーエプロンの状態をチェックするためフロントフェンダーを一度、取り外します。
  • 今では入手困難なホーンリングなど貴重なパーツもいい状態で残されています。
  • インテリアはオリジナルの状態に忠実にリファイン済みでとても綺麗な状態です。
  • 左右のフロントフェンダーを外しインナーパネルの状態をチェックしたところ、キックパネル部分に錆を発見したため補修作業を行いました。
  • この部分はブロンコのウィークポイントで傷んでいるケースが多いのです。
  • キックパネルからフェンダーエプロンにかけての内側もこの後、綺麗に補修されペイントされます。
  • 幸いこの個体は錆による腐食で補修が必要な個所はこの部分だけで他のボディーコンポーネンツはラストフリーな状態でした。
  • インテリアもシートやカーペット等が全て取り外され、コーティングされました。この工程は今後の日本での使用を考えてのものです。
  • コーティングを施すことで高温多湿な気候にも対応し、ブロンコを錆から守ることができるのです。
  • リアシート&カーゴエリアのスペースも綺麗にコーティングされています。この後、カーペットが貼られ仕上げられます。
  • ボディショップでのエンジンルームのリファイン作業が終了した1974 Bronco Sport。左右のキックパネルからフェンダーエプロンにかけてリペアされリペイントされました。ホイールウェルもリペイントされとても綺麗に仕上がっています。
  • フード裏側も綺麗にリペイントしました。外からは見えない部分ですが、フードを開けた時にこの部分が汚いと気分が落ちてしまいますからね。
  • コウルパネル上部もリペイント終了です。この部分をリペイントする際は左右のベントボックスシールを交換します。エアベント部分はブロンコの泣き所で大抵の場合、ベントシールの劣化がエンジンルーム内の腐食の原因となるのです。
  • コアサポートも綺麗にリペイントされました。
  • こちらはリペイント前のコアサポートです。その差は歴然ですね。
  • フードラッチマウントもリペイントされました。コアサポートをリペイントした際は同時にペイントしたいパーツです。
  • ペイント作業が終わりフロントグリルが元に戻されましたが、エアコン取り付けのため、再びグリルが外されラジエターまわりがバラされました。
  • この個体は写真でも分かるとおり、ウォーターポンプは交換が必要だと思われます。ウォーターポンプなど水まわりは日本到着後に整備を行います。
  • エアコン用のコンプレッサーやコンデンサーなどがインストールされ、その他の補機類が組み込まれました
  • ブロンコのエンジンルームは狭く、エアコンのインストールはコツがいる作業なのですが、当ガレージがいつも作業を依頼しているエアコンショップは慣れたものであっという間にインストールが完了します。同じ作業を繰り返すことで習熟度が増しクオリティの高い仕事へと繋がっているのです。
  • 1974 Bronco Sportのタイヤをニュータイヤへと交換しました。
  • 今回装着したのはCooper製のホワイトリボンタイヤ。クラシカルなタイヤはアンカットボディのブロンコとの相性が抜群なのです。
  • 合わせてマフラーも新調しています。
  • 当店こだわりのレイアウト。パッセンジャーサイドのシングル出し仕様です。
  • ボディショップにて、日本へ向けたシッピング前に最終のディテーリングを受けている1974 Bronco Sport。
  • 一部ペイントの手直しがありましたが、無事にカリフォルニアでの作業が終了。
  • シッピングに向けシートカバーやフロアマットで車内を養生していきます。
  • この後ロングビーチ港へと向かい、1974 Bronco Sportいよいよ日本へ向け出発です。
  • アメリカから日本に到着したばかりの1974 Bronco Sportです。Sandpiper Yellowのボディカラー、いい感じの色味なんです。
  • ガレージ到着後、早速作業に取り掛かった1974 Bronco Sport。リフトで上げてタイヤも取り外し、下まわりの清掃&点検を行います。
  • 前後の燃料タンクも降ろしました。汚れてはいますが状態は良く、綺麗に清掃したのち、リペイントを施して再利用しました。燃料パイプ関係はもちろん新品を使用しています。
  • リアアクスルまわり。燃料タンクやドライブシャフトも外してあるので下まわりはすっきりとしています。地金の色が出るまで汚れを落とし磨きをかけている状態で、だいぶ輝きがでてきました。
  • 下まわりのクリーニングを行っている1974 Bronco Sport。
  • 油汚れもスッキリと流してしまえるよう、洗剤を全体的に塗布します。
  • 洗剤を全体的に吹き終えたら、いよいよケルヒャーの登場。フロントからリアへと向かって高圧水を吹きかけ汚れを一気に落とします。
  • フロアパネルもしっかりと洗います。汚れ具合には個体差が結構あるのですが、錆と泥汚れがほとんどだった1974 Broncoは比較的容易にクリーンな状態を取り戻せました。
  • 作業は順調に進んでいたのですが、エンジンに不具合が見つかり外からな何とも判断できないため、中を見てみることに。
  • ブロンコから降ろした302cid V8エンジン。かなりの重量がありますから、エンジン降ろしは緊張しますね…。補機類を外し、細部をチェックしながらパーツごとに分解していきます。
  • エンジンがいなくなりスッキリとしたエンジンルームも隅々まで清掃を行います。
  • 分解後、オイルラインやウォータージャケット、各部の清掃が終了した左右シリンダーヘッド。
  • 分解後、オイルラインやウォータージャケット、各部の清掃を終えたシリンダーブロック。
  • タイミングチェーンやクランクなども隅々までチェック。緩み幅の大きかったタイミングチェーンは今回新品へと交換しました。
  • 上が新、下が旧タイミングチェーン&スプロケットです。
  • 他のパーツのクリーニングを行いながらエンジンを組み立てる準備を進めます。完全清掃で脱脂状態になっているシリンダーブロックのオイルラインやシリンダー内に注油しておきます。
  • エクゾーストマニフォールドも外れているうちに耐熱シルバーへとリペイント。
  • 1974 Bronco Sportから降ろしたミッションとトランスファーです。このミッション&トランスファーもクリーニングの後、ガスケット類交換、ATフルード&トランスファオイル交換を行いました。
  • 汚れをすっきりと洗い流したシリンダーヘッド。ウォータージャケットやインテーク、エクゾーストのポート内も洗浄を行いました。
  • シリンダーヘッドから外したバルブも汚れを落としたのち、シリンダーヘッドとのすり合せを行い綺麗で滑らかな接触面を作り出しました。
  • 擦り合わせの終わったインテーク&エクゾーストバルブ。
  • 擦り合わせの終わったバルブを組み付けたシリンダーヘッド。
  • クリーニング&検品の終わったシリンダーブロックにピストンを戻しました。
  • ピストンを全て入れ終えたら、先に組み立ての終わっているシリンダーヘッドとシリンダブロックを合体させます。
  • タペットも分解&清掃を行いました。
  • 人間の親指ほどのサイズのパーツですが、これだけの部品点数で構成されています。しかも細かい…。
  • ニュータイミングチェーンを装着。
  • 左右のバンクにシリンダーヘッドを載せ、タペットやプッシュロッド、ロッカーアムを組み付けた後、オイルをエンジン全体に回します。
  • ストレーナーから吸わせてロッカーアームの小さな穴からオイルが流れ出ることを確認できればOK。小さな穴からキラリと光るオイルが流れ出てきました。
  • 全気筒のロッカーアームからオイルが流れ出ることを確認したのち、インテークマニホールドを取り付け。
  • フォードブルーでリペイントしたバルブカバーを載せて作業は一段落。だいぶエンジンらしい姿に戻ってきました。
  • エンジンオイルパンもフォードブルーにリペイント。
  • 1974 Broncoから降ろしたC4オートマチックトランスミッション&DANA20トランスファです.。それなり…の汚れが付着していたので中の状態も見つつそれぞれのパートに分けてクリーニング&メンテナンスを行いました。
  • DANA20トランスファからギアオイルを抜いた後、内部の状態を確認。綺麗に清掃したのち、ニューガスケット&シールとともに組み付けました。
  • C4オートマチックトランスミッション。まずは外側から綺麗にしていき、ATF&フィルターは新品に交換しました。
  • 重~~いトランスミッションとトランスファを支えているミッションマウント。
  • スッキリと汚れを洗い落とし、輝きを取り戻しました。
  • ミッションとトランスファを繋いでいるアダプターも金属の地が出るまで磨きをかけました。金属の鈍い輝きがいい感じです。
  • エンジンルームのクリーニング中。エンジンルームに割と余裕がないブロンコですが、当のエンジンがいなくなると広々! 人ひとりがすっぽりと収まって作業することが可能です。エンジンがいるとなかなか手が届かない隅々まで、ワイヤブラシなどで汚れを落としました。
  • ステアリングシャフトまわりもしっかりと磨きをかけて…。
  • こちらはフレーム&エンジンマウントまわり。地金の輝きがいい感じです。
  • 地金を出したのち、すぐにシャシーブラックで整えました。黒光りするフレーム&ステアリングシャフト。満足のゆく仕上がりです。
  • オイルパンの装着に向け、ガスケット&シール類を取り付け。
  • フォードブルーにリペイント済みのオイルパンを装着。
  • エンジンを下した状態で付けられる補機類をエンジン本体へと取り付けます。
  • 車へ戻す準備の整った302cid V8エンジン。ウォーターポンプやフューエルポンプなどはニューパーツを使用。フォードブルーにリペイントしたことで装いも新たに生まれ変わりました。
  • クレーンでエンジンを吊り、エンジンルームの真上まで移動した後にゆっくりとエンジンマウントめがけてエンジンを下ろしていきます。
  • 無事エンジンが定位置へと戻りました。
  • エンジンが定位置に戻り、火入れに向けた各種パーツ類の取り付けを行いました。
  • ファンベルトやエアーコンコンプレッサー用ベルトは新品を使用。クーリングファンは汚れを落として磨いたのち、耐熱ペイントを施しています。
  • 耐熱シルバー仕上げのエキゾーストマニフォールドを装着。
  • ラジエターはピッチ増しをしたオーバーホール品を使用。冷却効果を高めています。
  • ラジエターホースでエンジンとラジエターを連結し、水回りの細かなチェックを行っています。
  • スパークプラグワイヤやイグニッションコイル、ディストリビューターキャップ&ローターは新品を使用。キャブレターも装着して火入れの準備を整えます。
  • ブロンコのトランスファDANA20です。中のギアオイルも完全に抜き取り、ギヤやシャフトなど隅々まで清掃&チェックを行っています。
  • トランスミッションもオイルパンを剥がしてフィルターも交換しました。
  • トランスファも元通り組みあがり、ミッションと合体の準備が整いました。
  • こちらはミッションとトランスファを繋ぐアダプタです。このアダプタを介して、ミッションとトランスファを一体化します。
  • ブロンコへと積む準備が整ったミッション&トランスファです。こいつは大人ふたりでやっとこさ持ち上がるというかなりの重量級…。
  • ニュートルクコンバーターをセット。
  • ミッション&トランスファがいると手が届かない部分の汚れも綺麗さっぱりと洗い流してシャシーブラックで整え、クリーンな状態に仕上げています。
  • 燃料ラインはガソリンタンクからエンジンまで新しく引き直し、配線は一度バラして導通をチェックしたのち、綺麗にまとめてフレームに這わせています。
  • フューエルタンクのセレクトバルブも新品へと交換しました。
  • メイン&サブの燃料タンクも一度車から降ろした後クリーンナップ&塗装を施してブロンコへと戻しました。
  • フューエルフィラーホースやベントホースも新品を使用しています。
  • ブロンコ、そしてミッション&トランスファの準備が整いました。さて、ヘビー級の相手と一戦交えます。
  • 無事にミッション&トランスファがブロンコへと戻りました。
  • 続いてフロントアクスルまわりのブッシュを交換しました。
  • 今回交換したのは、Cブッシュ&ラジアスアームブッシュです。
  • こちらがCブッシュ(左)とラジアスアームブッシュ(右)です。どちらもフロントアクスルを支えている大事なブッシュゆえ、アメリカからブロンコ到着後、当ガレージでは必ず交換するパーツのひとつです。
  • ブッシュを交換するにはフロントアクスルを完全に車からフリーにする必要があるため、コイルスプリングも取り外します。
  • ボディはウマで支え、アクスルはフロアジャッキで支え…
  • 無事にCブッシュ&ラジアスアームブッシュの交換が終了しました。
  • 大作業が終了してひと段落の1974 Bronco Sport。
  • ベントウィンドウのシールを交換するため、ドアからベントウィンドウのフレームを取り外しました。
  • こちらフレームから取り外したベントウィンドウガラスです。今回はガラスが回転する軸となるピボットも交換するため、クロームの縁もガラスから取り除きます。
  • ゴム製のシールやピボットを新品へと交換。軸の交換により滑らかな動きを取り戻しました。フレームをブロンコのドアへと戻して作業終了となります。
  • ゴムが柔らかくなって気密性も高まっています。
  • 続けてドアまわりのウェザーストリップも交換しました。
  • 各部のウェザーストリップ&シール類交換終了後のシャワーテスト。スコール並の勢いで水をかけて水漏れをチェックします。
  • ドアまわり。
  • ベントボックスルーバーも。
  • 中から厳しい目でチェックします。
  • ここからはディファレンシャル(デフ)オイル&タイロッドエンドブーツの交換です。
  • フロントデフカバーを開けてみると…オイルはそれなりに汚れていましたが、デフ玉自体の状態は良さそうです。デフカバー裏面の錆もないことから察するに、四駆で走行する機会が多かったのかもしれません。
  • アクスルハウジング内のデフオイルを全て洗い流してクリーンナップが終了後、開口部のまわりに残っているガスケットを綺麗に掃除。もちろんデフカバー側も掃除しておきます。
  • 合わせ面整えが終わったらデフカバーを被せてひとまず終了。ガスケット類の乾燥をまってデフオイルを注入すれば完成です。
  • ブーツを交換するために、ステアリングのリンケージまわりを分解してあります。
  • こちらがタイロッドエンドブーツ。ボールジョイント内への異物の侵入を防ぎつつグリスを保つ役割を持っています。これが破れていると検査をパスできない重要なパーツです。このあたりは消耗品でもあり、当店ではまず新品に交換するパーツのひとつです。
  • 外したリンク類もそれぞれクリーニングを施しブロンコへと戻しました。
  • 続いてはナックルボールジョイントの交換です。
  • ナックルに備わるボールジョイントは、ステアイングを切った際にフロントタイヤが回転する軸になる重要なパーツです。今回はそのアッパーとロアの2つのボールジョイントを左右とも交換しました。
  • まずはブレーキ、フリーハブまわりから外していきます。
  • バックプレートのみの状態に。
  • バックプレートを外した後…
  • アクスルシャフトをハウジングから抜きます。
  • 続いてナックルをアクスルから外し…
  • 専用工具を使ってナックルからボールジョイントを抜き取ります。専用工具を使っているとはいえかなり”力”が必要です。
  • こちらが左右ナックルから取り外したボールジョイントです。中のグリスも切れ気味で、動きの渋くなっているものもありました。
  • ニューアッパー&ロアボールジョイント。新品は動きが滑らかで気持ちがいいです。グリサブルなのでメンテナンス性もアップ。
  • 新しいアッパー&ロアボールジョイントが組み込まれたナックル。ナックルは分解した後に地金が見えるまでクリーニングを行っています。
  • ナックルをアクスルハウジングへと戻しました。
  • 規定トルク値でボールジョイントのナットを閉めてボールジョイントのリニューアル作業は完了です。
  • ニューボールジョイントを備えた左右ナックルがアクスルハウジングへと戻りました。
  • ここからはボールジョイント交換作業に付随する作業となります。まずは、ハブ内のクリーニング&グリスアップを行い…
  • ロッキングハブのハブへの組み込みを行います。ロッキングハブは組み込む前にしっかりと清掃を行い、グリスアップを行いました。
  • バックプレートとハブを装着した後、ロッキングハブの組み込み完了! 構造はシンプルなロッキングハブですが組み方にはチョットしたコツが必要。間違った組み方をすると正常に作動してくれません…。
  • ブレーキ関連のパーツを組み込んで…
  • ブレーキのエア抜きを行って、ボールジョイント交換の一連の作業終了です。
  • 今回はアクスルシャフトのユニバーサルジョイントもリニューアルしています。このパーツだけを交換しようと思うと今回と同等の作業が必要になるため、予防整備を兼ねた交換です。
  • 最後にシャーシーブラックで下まわりをパリっと仕上げました。ボールジョイントは小さなパーツの割に作業が大がかりになりますが、ステアリングの操作感や走安性に影響を与えるパーツですから、見過ごすわけにはいきません。
  • 大方の作業が終わり、ストック車両の仲間入りを果たした1974 Bronco Sport。
  • リビルトした302cid V8エンジンはスムースな吹け上がりとトルクフルな走りが楽しめます。
  • 入手困難なハーフムーン・ホーンリングも綺麗な状態が保たれています。
  • パーチメント&ブラックカーペットでパリッと仕上がったインテリア。
  • 下まわりは外せるものをすべて外してクリーニング&整備を行った上でシャシーブラックで整えています。こちらはフロントサスペンションまわり。
  • フロントサスペンションまわり。
  • リアサスペンションまわり。