RESTORATION
1973 Ford Bronco Ranger “Bright Lime” – US編
- コロラド州イングルウッドにて入手しました、1973 Bronco Rangerです。
- ボディカラーは”Bright Lime”。イエロー寄りですが、明るめのグリーンカラーです。
- 全てのボディパネルはオリジナルペイントを維持しており、
- Rangerパッケージ特有のRangerストライプも状態良く維持されています。年々、このような状態の良いブロンコは見つけることが困難になっており、正にお宝と言える1台だと思います。
- ボディパネルの艶はご覧の通り健在。グリルの小傷はオリジナルペイントの証しです。
- ボディはとてもソリッドな状態で、極上のコンディションです。
- Avocado GreenのRangerトリムインテリアもとても綺麗な状態を維持しています。
- 1973 Bronco Ranger “Bright Lime” 号がLAの拠点に到着しました。
- エクステリアペイントは、オリジナルペイントを維持しており、若干の補修個所があるのみです。
- オリジナルペイントならではのヤレ感です。この雰囲気はリペイントされた個体には決してない、貴重なものです。
- 今回のリファインプロジェクトではこの貴重なオリジナルペイントを保持しつつ、全体の雰囲気を損なわないように各部をリフレッシュしていきます。
- 48年間の経年劣化によってひび割れたRangerストライプも、この個体のヴィンテージ感を醸成する大事な要素です。今回はこのRangerストライプも含めて、エクステアはオリジナルコンディションを保持していきます。
- この個体のひとつの特徴ともいえるAvocado Greenのインテリア、カーペットは貼り替えらえ、シートカバーの一部は補修されていますが基本的にはオリジナルの状態を保ったインテリアです。
- 1973 Bronco RangerにはこのAvocado Greenの他に、2色のインテリアが存在しました。茶系の”Ginger” と青系の”Deluxe Blue” です。
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こちらが”Ginger” インテリアです。”Hot Ginger” や”Sandpiper Yellow” などのエクステリアカラーと組み合わされていました。
- そしてこちらが”Deluxe Blue” インテリアです。”Midnight Blue” や”Wimbledon White” などのエクステリアカラーと組み合わされていました。
- そんな3色のRanger Packageインテリアカラーの中でも、このAvocado Greenインテリアはかなり希少性の高いカラーリングだと思います。ドライバーズシートは綺麗な状態を保っています。
- しかしパッセンジャーシートに目を移すとシート座面に補修痕が。仕上がりを統一するため、ドライバーズシートも含めて、オリジナル同様の格子柄生地を入手してリペアしたいと思います。
- リアベンチシートは綺麗な状態ですが、フロントバケットシートに合わせて同じマテリアルで張り替える予定です。
- ドアパネルもRangerトリムが綺麗な状態で保持されています。しかしアームレストやドアカップは色が所々剥げてしまっていますので、リダイを施す予定です。
- リアクウォーターパネルもRangerトリムが奇跡的な程に綺麗な状態で保持されていますが、経年劣化によりボードが歪んでしまっていますので、ボード交換を行いたいと思います。
- その他、弛んでしまったヘッドライナーは張り替える予定です。
- エンジンルームもオリジナルコンディションを保ち、インナーパネルもリペイントされた形跡はありません。スーパークリーンなコンディションです。
- 貴重なオリジナルエアクリーナーはもちろんのこと、連結チューブも現存しています。その他の補器類も基本的には貴重なオリジナルパーツです。
- ブロンコの泣き所、インナーフェンダーパネルも御覧の通りソリッドな状態。とてもドライな個体であることがお分かり頂けると思います。
- 下まわりもとても綺麗な状態です。こちらは左右のフロントサスペンションです。
- ラジアスアームもラストフリーで綺麗な状態です。ブッシュ類も交換された形跡があり、メンテナンスが行き届いた個体であることが分かります。
- リアまわりもとてもソリッドな状態です。この状態であれば、弦巻にてとても綺麗な仕上がりを実現出来そうです。
- ローダーに載せられ、
- Upholsteryショップへと向かいます。
- オレンジカウンティのいつものショップへと到着しました。ここは弦巻創業以来、変わらずお付き合い頂いている業者さんです。
- 作業内容の打合せ後、まずは弛みの目立つヘッドライナー貼り替えの作業からスタートしてもらいます。
- 一部は破損してしまっています。
- 弛んでしまってるのがお分かり頂けると思います。Newヘッドライナーへと貼り替えリフレッシュします。
- ヘッドライナーが貼り替えられました。
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こちらはフロント部分です。
- サンバイザー及びワイパーモーターカバーはオリジナル品を維持しています。
- 全体的に綺麗な仕上がりです
- “Bright Lime” 号のカーペットは、前オーナーによってループパイルカーペットへと貼り替えられたばかりで、とてもクリーンな状態でした。
- しかしその貼られ方はとても雑で、例えばリア部分はリアフロア全体を覆えていない状態だったり、
- サイド部分はカーペットリテイナーが浮いてしまっていたり、
- 所々、弛んでしまっている状態です。
- そこで入手可能なグリーンのオリジナルと同じパイルカーペットのサンプルを取り寄せてみたのですが、
- どうやら色が明るすぎるようです。
- 現在、貼られているループパイルのカーペットと比較しても御覧の通り、明るすぎる感があります。
- こちらは以前に弦巻にて製作したAvocado Green インテリアを持つBronco Rangerですが、この時もオリジナルと同様のグリーンカーペットを入手することが出来ず、この明るいグリーンを選びました。この組み合わせも悪くないのですが、少々、明る過ぎる感は否めません。
- そこで今回はこの前オーナーによって貼られた、よりオリジナルのAvocado Greenインテリアのカーペットに近い、こちらのループパイルカーペットの生地を生かし、貼り直すことになりました。
- フロントバケットシート及びリアベンチシートのリペアに向けて、マテリアルを入手しました。
- こちらは座面部分に使用する格子柄の生地です。オリジナル品と同じ物を入手しました。
- そしてこちらはシートスキンです。
- こちらもオリジナル品と同様、Avocado Greenのビニールスキンを入手しました。
- これらの生地を使い、解れの見受けられる、座面やシートレストのマテリアルを張り替えていきます。
- シートスキンを張り替え、同時にシートフォームも交換しますので、このようなシートが潰れたような使用感も取り除くことが出来ます。
- 全面的にシートスキンを張り替えることで、このような傷も完全になくなり綺麗な状態へと再生していきます。
- リアベンチシートもバックレストに傷が目立ちますが、完全にリニューアルされる予定です。
- リアベンチシート及びクウォーターパネルが外されました。
- そしてリアベンチシートがバラされました。こちらはシートとバックレストです。
- そしてこちらはシートフレームです。
- シートフォームの劣化により、シートスキンに皺が寄ってしまっていますので、シートスキンを貼り替え、シートフォームを交換します。
-
アームレストは色の剥がれが目立たなく、綺麗な状態でしたので、クルーニングを施しオリジナルの状態を維持します。
- クウォーターパネルはオリジナルのスキンを維持しながら、ボードの交換を行います。こちらはドライバーサイドです。
- こちらはパッセンジャーサイドです。
- 作業に取り掛かっていた、リアベンチシートが早くも完成していました。
- シートスキン、シートフォームを交換し張りと艶を取り戻しました。綺麗な仕上がりです。
- リアベンチシートと同様に、シートスキン及びシートフォームをリニューアルするフロントバケットシートの作業に取り掛かりました。
- まずは座面部分の格子柄生地を採寸し、裁断しました。
- 同時進行で再利用するカーペットの下に敷かれている断熱材を取り除いていきます。
- クウォーターパネルの内側にはしっかりと貼り付けられていました。
- 同じ断熱材がカーペット下にも敷き詰められています。接着剤が使われているようで、剥し作業が難航しそうな雰囲気です。
- 全てのシートが取り外され、現在、敷設されているカーペットを張り直す作業へと移行しました。
- カーペットの下には、前オーナーによって断熱材が貼られており、まずはこの断熱材を取り除く作業を行います。
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リア部分のカーペットが剥され、ホイールウェル上に貼りつけてあった断熱材を剥しました。
- 断熱材は接着剤によってしっかりと貼り付けられていたため、剥し作業は困難を極めました。
- 前オーナーがなぜ断熱材をこのように接着剤を使って貼ってしまったのかは不明ですが、カーペットと断熱材は消耗品であるという前提で考えると、接着剤の使用は全く不必要なものでした。几帳面に断熱材はフロア全面に貼られていたのです。
- とにかく丁寧に、フロアを傷つけないように剥離作業を進めて行きます。
- リアフロアの断熱材は取り除かれ、改めてカーペットが設置されました。カーペットの固定にシャーピンが使われているのはご愛嬌。
- ホイールウェル、クウォーターパネルに貼られていた無意味な断熱材も取り除かれました。
-
テールゲート内側に貼られていたカーペットも一旦、取り外されました。
- エンジンの熱が籠るフロントサイドにはしっかりと断熱材が敷き詰められました。
- 丁寧に貼られています。
- 断熱材が敷き詰められたフロントサイドにカーペットが敷設されました。
- シートプラットフォーム上に、
- そしてフロアパン上に隙間なく設置されています。
- そして左右両端部と中央にカーペットリテイナーが取り付けられ、固定されました。
- そしてトランスファーレバーのシフトブーツもカーペットに固定されます。
- カーペットリテイナーによってフロントとリアに敷かれたカーペットがしっかりと固定されました。
- ボードが交換されたリアクウォーターパネルも設置されました。こちらはドライバーサイドです。
- こちらはパッセンジャーサイドです。
- ボード交換により歪みがなくなりシャキッとした仕上がりとなりました。
- ホイールウェル上のカバーも皺なく設置されカーペットの敷設作業は完了となりました。
- 前オーナーによって張り替えられたループパイルカーペットを再利用していますが、丁寧に敷き直すことで格段にクオリティの高い仕上がりを実現出来ました。
- オリジナルのレンジャートリムを保っている、”Bright Lime” 号ですが、アームレストはご覧の通り、所々、色が剥げてしまっています。こちらはドライバーサイドです。
- こちらはパッセンジャーサイドです。今回はオリジナルパーツをリダイすることになりました。
- アームレスト及びドアカップが取り外されました。貴重なレンジャートリムのドアパネルはとても綺麗な状態ですので、ボード交換等はせずにオリジナルパーツを保持します。
- 取り外したアームレストをダッシュパッドの上に置き、色の確認を行いました。
- アームレスト及びドアカップがリダイされました。
- 光の加減によっては、若干明るい色に見えますが、オリジナルのカラーコードでリダイしています。
- ドアカップです。
- シートスキンの張り替え及びシートフォームの交換作業が完了したフロントバケットシートです。
- オリジナル同等の格子柄マテリアルを使用し、綺麗に張り替えることが出来ました。
- フロントシートハーネスは、
- オリジナルのタグが残されていることもあり、
- オリジナル品を再利用しました。
- 損耗の激しかったリアのシートハーネスは、
- Newハーネスへと交換しました。
- 完成したフロントバケットシートがインストールされました。
- オリジナルと同等のマテリアルを使って張り替えられ、シートフォームも交換されましたので、艶と張りを取り戻しました。
- シートバックプレートはオリジナルパーツを再インストールしています。この後、シートスキンと同じマテリアルを使い、リニューアルする予定です。
- フロントシート同様にシートスキンとシートフォームがリニューアルされたリアベンチシートもインストールされました。
- 端部に見受けられたダメージがなくなり、とてもクリーンな仕上がりを実現出来ました。
- カーペットを弛みなく貼り直した甲斐あって、フロアも綺麗な仕上がりです。
- テールゲート裏のカーペットも貼り直されました。
- リダイされたアームレストとドアカップも取り付けられました。若干色味は異なりますが、徐々に馴染んでいき落ち着いていくことでしょう。
- こうして完成した貴重なAvocado GreenのRangerインテリア、全体的にクリーンな仕上がりを実現することが出来ました。
- Upholsteryショップでの全ての作業を終え、次なる工程に向けて移動待ちの1973 Bronco Ranger “Bright Lime” 号です。
- Upholsteryショップでは最後にフロントバケットシートのバックプレートにシートと同じ素材のマテリアルが貼られました。こちらはドライバーサイドです。
- こちらはパッセンジャーサイドです。綺麗な仕上がりです。
- カリフォルニアでの最後の工程がこちら、マフラーのリニューアルです。
- エキゾーストマニホールド以下、
- サイレンサーから、
-
リアサイドまでリニューアルします。
- マフラーエンドはオリジナル同様、パッセンジャーサイド出し、シングルマフラー仕様となります。
- エキゾーストラインのリニューアル作業を終え、Tow Truckに載せられた1973 Bronco Ranger “Bright Lime” 号です。
- エキゾーストマニホールド以下、
- サイレンサーから、
- リアエンドまでエキゾーストラインがリニューアルされました。
- マフラーは定番のパッセンジャーサイド一本出し仕様です。
- カリフォルニアでの全ての作業を終えた1973 Bronco Ranger “Bright Lime” 号です。
- 船積みに向けて、全ての油脂類を抜き取る作業が行われました。
- 最近は規制が厳しくなり、船積み前に漏れる可能性がある油脂類はすべて抜き取ることが義務付けられました。結果、ブロンコはNon Operation Carとして、追加のコストを支払うことに。
- Tow Truckへの積み込みも一苦労です。
- こうしてカリフォルニア州を旅立った1973 Bronco Ranger “Bright Lime” 号、引き続き、弦巻でのリファインプロジェクトの様子をご紹介して参ります。