N氏とZ氏はこのBronco Racerのディテーリングを経てレストアメニューを考えている間にある計画を思いつきました。
それはこのStroppe Racerが現役時代に駆け抜けた、Baja Californiaへの回帰でした。2人はこの個体でMexican 1000レースへ出場する計画を思いついたのです。
まずはエアークリーナーなどエレメンツパーツの整備を行い、自走可能な状態へとメインテナンスを施し、
長い間、倉庫で眠っていた’69 Mexican 1000出場時に装着されていたバケットシートを装着しました。
そして本格的なレストア作業を前に、1969 Mexican 1000 Winning Racerは2009年4月、全米最大のフォード車のためのイベント、Fabulous Fords Foreverへと持ち込まれたのでした。
引き続き、1969 Winning Racerのヒストリーをご紹介して参ります。
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N氏とZ氏は”Red Racer” を入手するとすぐに、ディテールの確認を行い、その後のレストアメニューについての検討を始めました。
“Red Raser” のディテールを確認すると、随所にこの個体がオリジナルのStroppe Racerである証を発見することが出来ました。それはフロントショックタワーや、
ロールケージ、
Stroppe Racer特有のVINタグなどです。すべてのStroppe Racer BroncoにはフォードによるVINプレートとこちらのStroppeによるタグの両方が備え付けられていたのです。
そしてこの個体の最大の特徴はワイド化されたフレームに合わせてリアサスペンションの支持ポイントもワイド化されている点です。
1969 Winning Racerのリアエンドのフレーム形状は他のStroppe Racerと根本的に異なっているのです。これがこの個体が本物である確たる証拠となっているのです。
2008年4月、Baja BroncoのスペシャリストであるAndrew Norton氏(以下N氏)の携帯電話が鳴りました。盟友であるTodd Zuercher氏(以下Z氏)からの電話でした。普段、Z氏からN氏への連絡はEメールで行われることが常でしたので、Z氏からの電話はN氏にとって予期せぬものだったのです。
電話に出たN氏に対してZ氏はこう告げたのです。「遂にこの時が来た...」
それは1995年にZ氏が発見し、1998年から二人が興味を抱き、譲受けるべく、度々、そのオーナーと交渉してきた1台のBroncoが売りに出されたことを告げる電話だったのです。
その”Red Racer” Broncoはオーナーによってサンドタイヤが装着されるなどして、サンドバギー仕様となっていましたが、その特徴的なロールケージやダッシュパネル、エンジンコンパートメント、ロッカーパネルから出されたストレートパイプエキゾーストなどを見れば、この個体がStroppe Racerであることは明らかでした。
1998年以来、10年の間、何台かのStroppe Racer Broncoがマーケットに売りに出されましたが、N氏とZ氏にそれらを購入するチャンスは巡って来ませんでした。そこで二人はこの”Red Racer” Broncoを誰にも知られないよう、ひた隠しにする作戦を立て、実行してきたのです。
実際、二人の作戦の通り、砂場でこれらの写真が撮られて以降、”Red Racer” はトイボックストレイラーに仕舞い込まれ、数年の間、誰の目に触れることもありませんでした。
N氏とZ氏は、このようなレーサーブロンコはフォードにとって重要なアイコンであるという点に留まらず、オフロードレーシングの歴史にとっても重要な存在であると考えました。そこで二人はこの”Red Racer”を購入し、歴史を紐解き、そして適切な姿で保存することを決意したのでした。
この個体にとっての最初のレースは1968年のMexican 1000でした。ドライバーはParnelli JonesでナビゲーターはBill Stroppeという黄金のコンビでしたが、トラブルによって完走することは出来ませんでした。
Rod Hallはその後、この’69 Winner Racerを駆って数多くのオフロードレースに出場し、優勝、2位、3位といったリザルトを残しました。
1969年から1975年の間に輝かしい戦績を納めたのです。
その結果、現存するStroppe Racer Broncoの中で最も完全な状態で存在する個体として君臨しているのです。
フォードは必要に応じて更に数台のブロンコをストロップのチームへと提供していましたので、各レースに於いて6台程度のブロンコがストロップチームから参戦していました。写真は1970年に撮影されたストロップのファクトリーです。
ストロップが最初に手掛けたブロンコ達は年々改良され、レースへの参戦を終えると、廃棄されました。しかし数台のブロンコは新しいパーツと技術でアップデートされレース参戦を続けました。このLarry MinorとRod Hallによって1969 Mexican 1000を制したレーシングブロンコもそのような個体の内の1台でした。
1969年のMexican 1000での勝利はBajaレーシングの歴史上、初めて4輪車が2輪車のタイムを上回り、総合優勝を果たしたという意味において最も有名な勝利です。
’69 Winner Broncoはフォードモーターカンパニーのテスト車両として、1968年のVINコード末尾00001が与えれれ、即ち1968年式
現存するStroppe Racing Broncoは僅か8台のみであり、その内の3台のみが自走可能な状態にあります。”69 Winner”はもちろん、その内の1台です。Los Angelesに生息するJohnny CreanのRacing Broncoもその3台の内の1台で、自走可能ですが、ストリートユース仕様へと大幅に改造されています。
昨年の5月、Broncoの専門書を出版した前オーナーは出版記念を兼ねて1969 Mexican 1000 Winning Racerとのお別れパーティを催しました。
盛大なパーティの後、1969 Mexican 1000 Winning Racerはアリゾナ州フェニックスからカリフォルニア州の私共の拠点へと陸送されました。貴重な個体を運ぶためにクローズドトレイラーが手配されました。
そしてWinning Racerは無事にカリフォルニアへと到着しました。
爆音を轟かせながら自らトレイラーから降りてくるWinning Racer、
エンジンのコンディションも上々のようです。
LAの強い日差しを浴びて光り輝きます。
そして無事にガレージへと収まったWinning Racer、次回からはいよいよ、そのヒストリーをご紹介して参ります。
ある車両というのがこちら、1966 Bronco Racerです。
輝かしい戦績の中で特筆すべきはやはり、1969 Mexican 1000のWinnerであることです。
フェニックスの閑静な住宅街でご対面となった69 Winner Bronco、今後、数回に分けてこの個体のヒストリーをご紹介して参ります。


